2010年 03月 09日
展示作品の一枚から。 この写真、今回の写真展に来てくださった方に大好評です。 吊るされている子どもの表情といい、お母さんの気だるそうな雰囲気といい、私のお気に入りの1枚でもあるのですが、アフリカに行ったことのない方は、何をしているところか想像がつきますでしょうか? そうです!クリニックで体重を計っているところなのです。ニジェールだけではなく、アフリカであればどこでも見かける光景です。この写真は、私が2年間働いていたクリニックで撮ったものなのですが、この乳幼児健診の体重測定は私の仕事の一つでもありました。 毎朝、まずはお母さん達から母子手帳を集め、その日の日付と赤ちゃんが生まれてから何カ月何日経っているのかを、誕生日から計算して記入します。それから、クリニックに保管してあるカルテを探し出し、それが全員分集まると、検診が始まります。「ナントカさん、どうぞ~」というかんじで、大声で一人ずつ部屋に呼び(これも私の仕事)、体重を計って、カルテと母子手帳に記入します。実は、体重を計る方法もたくさんあり、私がいたときは下の写真の計りを使っていました。まず、何キロか重りを置いて、グラムを決めていく天秤のようなかんじです。1日平均50人くらいの赤ちゃんの体重を計るので、赤ちゃんを見た瞬間に、この子は何キロなのか想像がつくようになります。そして、赤ちゃんは基本的に裸になるので、よくおしっこもかけられます。。 その後、別のナースがお母さんにいろいろ質問をして、何か問題があれば栄養指導をしたり、治療に回して、何もなければお母さんたちは予防接種のコーナーへと移動してゆきます。 私が働いていたクリニックは、首都の郊外にあったので、貧困層と富裕層がごちゃまぜになっているエリアでした。なので、極度の栄養失調児もいれば、肥満児もいて、お母さんたちが受けた教育レベルにも大きな差がありました。経済レベルもそうですが、お母さんたちの教育レベルは赤ちゃんの健康にも大きく影響するものなのです。 一応、毎月この乳幼児健診に赤ちゃんを連れていくことになっているので、朝はすごい混みようで、お母さんたちの社交場にもなっています。毎日毎日、体重を計りながら、お母さんと赤ちゃんと触れ合い、そして待合室にいる母と子を遠目で見ていると、毎日毎日見ている光景なのに、毎日毎日見とれてしまうくらい、それらはなぜか美しい光景で、いつも写真を撮りたいと思っていました。しかし、私がいたときは極端にスタッフが少なく、体重を計る人が一人減るだけで、乳幼児健診の時間が倍になってしまうくらいだったので、ちょっと抜けて写真撮ってきまーすとは言い出せず、お母さんと赤ちゃんを眺めては撮りたい欲求が膨らみ、自分の頭の中で悶々と構図を考える日々でした。なぜこれほどまでに、自分が母と子に惹かれるのかわかりませんが、世界中(日本も含む)の母と子、妊婦さんの写真を撮りたいという欲求は、日本にいる今も日々膨らむばかりです。
by tkrin
| 2010-03-09 23:49
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